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難病に対する国の取り組みと研究班

2026年07月01日

難病に対する国の取り組みと研究班

難病に対する国の取り組みと研究班

久松理一
杏林大学医学部消化器内科学
令和2-7年度 厚生労働科研費難治性疾患政策研究事業
難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班 研究代表者



日本の医療費助成制度について ~小児と成人の違いも含めて~

炎症性腸疾患(IBD:潰瘍性大腸炎・クローン病)は、小児期から成人期にわたり継続する慢性疾患であり、日本では年齢に応じて「小児慢性特定疾病医療費助成制度」と「指定難病医療費助成制度」が適用されています。両制度が対象とする疾患は完全には一致していません。さいわい潰瘍性大腸炎・クローン病は両制度で対象となっていますが、制度の根拠法、目的、対象者、運用に重要な相違があります。

まず、小児慢性特定疾病は児童福祉法に基づく制度であり、「児童の健全育成」を主目的としています。すなわち、医療費負担の軽減に加え、成長・発達や家族支援を含む包括的支援が重視されます。対象は原則18歳未満(条件により20歳未満まで延長)であり、慢性疾患を有する児童の長期療養による負担軽減を目的に、医療費自己負担の一部が公費で補助されます。また、制度上は比較的広く患者を拾う設計であり、軽症例でも認定され得る点が特徴です。一方、指定難病医療費助成制度は「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」に基づいており、主として成人患者さんを対象とします。目的は医療費負担の軽減とともに、難病研究の推進にあります。対象疾患は原因不明・治療法未確立・長期療養が必要などの要件を満たす必要があり、さらに医療費助成の対象となるには原則として一定の重症度基準を満たすことが求められます。そのため、軽症のIBD患者は助成対象外となる場合があり、「重症例または高額医療継続例に重点化された制度」といえます。

医療費助成における日本と海外との違い

医療費助成制度は国や地域によって大きく異なります。現在、日本では数多くのadvanced therapy(生物学的製剤や経口低分子化合物など)が重症度や医療費基準を満たせば助成の対象になります。海外では国民皆保険制度がないため加入している個人の保険によってカバーされる薬剤が限定される、国の方針で一次治療として使用できる薬剤が限定されている、などの制限があることがあります。原則すべての治療薬が助成制度の対象となる日本の制度は患者さんにとって治療選択に制限がかからないという優れた点がある一方で、国の財政における医療費の高騰という課題も存在します。

難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班(IBD班)での取り組み

難病法で定められた指定難病にはそれを対象とした研究班が存在しています。

厚生労働科研費 難治性疾患政策研究事業 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班(以下、IBD班、http://www.ibdjapan.org/)が対象としているのはクローン病、潰瘍性大腸炎、クロンカイトカナダ症候群の3疾患です。IBD班は標準治療の確立、研究の推進、社会啓発活動などの司令塔として存在し、官庁、医療機関、学会、研究機関、患者さんを含めた市民の皆さんをつなぐ役割を担っています。活動の詳細は令和8年度からの研究代表者 松岡克善先生から改めてご紹介があると思いますが、日本のIBDを専門とする消化器内科医、消化器外科医、小児科医、医療統計学などの各分野のエキスパートが一同に会し幅広いプロジェクトを推進しています。

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