IBDと仕事~一人で悩まないために~
平岡佐規子
岡山赤十字病院 消化器内科
炎症性腸疾患(IBD)は、潰瘍性大腸炎やクローン病を含む慢性の病気です。発症する年代は10代後半から30代が多く、進学や就職、結婚や子育てなど、人生の大切な時期と重なることが少なくありません。
外来で患者さんとお話をしていると、
「就職できるだろうか」
「病気のことを職場に伝えるべきだろうか」
「体調が悪くて休んだら迷惑をかけるのではないか」
といった悩みをよく耳にします。
一方で、実際には多くのIBD患者さんが仕事を続けています。病気があっても、自分に合った働き方を見つけながら活躍している方はたくさんおられます。
ただし、IBDには特徴があります。
症状が落ち着いている時期もあれば、再燃してしまう時期もあります。また、腹痛や下痢だけでなく、疲れやすさや通院・検査の負担など、周囲からは見えにくい困りごともあります。
そのため、「病気を治すこと」と「働くこと」を別々に考えるのではなく、両方を一緒に考えることが大切です。
私はIBD診療に携わる中で、「仕事があるから治療を頑張れる」という患者さんにたくさん出会ってきました。仕事は収入だけでなく、社会とのつながりや生きがいにもなります。
もちろん、無理をして働く必要はありません。しかし、「病気だから働けない」と決めつける必要もありません。
困ったときには、主治医や看護師、医療ソーシャルワーカー、患者会など、相談できる人がいます。
まず知っていただきたいのは、
「仕事のことで悩むのは特別なことではない」
「一人で抱え込まなくてよい」
ということです。