炎症性腸疾患研究班について
松岡 克善
東邦大学医学部 消化器内科学講座 教授
炎症性腸疾患(IBD)について、全国の医師が力を合わせて研究を行っている組織があります。それが「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班」、通称「IBD研究班」です。
現在、全国から300名以上のIBDを専門とする医師が参加しており、その研究班をまとめるリーダーを「班長」と呼びます。
厚生労働省では、さまざまな難病について同様の研究班を組織していますが、IBD研究班はその中でも50年以上にわたって活動を続けている、非常に歴史の長い研究班です。
IBD研究班は、難病法に基づいて厚生労働省から研究費の支援を受け、潰瘍性大腸炎やクローン病をはじめとするIBDの診療をより良くすること、そして患者さんの生活の質(QOL)を高めることを目指して、全国規模でさまざまな研究を行っています。
年に2回開催される「班会議」には、全国から多くのIBD専門医が集まります。最新の研究成果や日々の診療で得られた経験を持ち寄り、IBDの診断基準や治療指針について議論し、より良い内容へと更新していきます。
皆さんが病院で受けているIBD診療の土台となる考え方の多くに、こうした研究班の活動が関わっています。
研究班の仕事は、診断基準や治療指針を作ることだけではありません。
- 多くの患者さんの治療内容や経過を長期的に記録する「レジストリ」を整備し、実際の診療から新たな知見を生み出す研究
- 病気の症状や検査値だけを見るのではなく、患者さんが日々の生活の中で何に困り、何を大切にしているのかにも目を向けながら、「患者さん中心の医療」をどのように実現していくかを考える取り組み
などにも力を入れています。
IBDの治療の目標は、病気を落ち着かせることだけではありません。IBDがあっても、学び、働き、食事を楽しみ、旅行をし、それぞれが自分らしい生活を送れることが大切です。
IBD研究班は、全国の医師と患者さんの経験を未来のより良い診療につなげ、IBDがあっても安心して自分らしく暮らせる社会を目指して、これからも活動を続けていきます。